「乾くるみ」 イニシエーション・ラブ
久し振りに小説の紹介をしたいと思います。
【作品】 イニシエーション・ラブ / 乾くるみ / 2004年発行
【購入動機】 あらすじに、「最後から二行目で、本書は全く違った物語に変貌する
必ず二回読みたくなる。」とあったことから。
表紙絵や作家名から女性っぽさが感じられますが、男性作家です。
自分は初めて読む作家でした。
【紹介理由】 ラスト二行目のトリックに見事に騙されたこと。そして、めっちゃローカル小説だったこと。
最後の二行で違う物語になる?
たった二行で?
これは気になります。
作品は、1986年~1987年頃を舞台に展開されていました。
基本的には、たっくんとマユの恋愛小説ですが、正直言ってとてもチープなものでした。
自分も経験したことあるような、まるで普通の人の日記かよ?って思うくらいの内容が続くので、
ついつい流し読みしてしまったのは間違いだったかも。
ミスリードや伏線がありまくりだったのにスルーしちゃいましたから。
そしてそのローカル・・・・・・・・・
実は静岡でした。
いや、静岡が舞台の小説なんてたくさんあります。
でもね、この小説の違いは全てが実名だったってことなんです。
当時の静岡を知る人にとってはそれだけで、のめり込むかも。
例えば・・・・・・・・
曲金、小鹿、カネボウ通り、焼津、静波、大井川、青葉公園、丸子、安西通り、住吉町、本通り、柚木の自動車学校、静大、シャンソン化粧品テニスコート、R150沿いココス、新静岡センター、戸田書店、青葉公園近くのマック、ジョルダン、メガネスーパー、DADA、アピア、シシリア、ターミナルホテル、谷島屋書店、吉見書店、あさくま、タウンホテル魚与、伊勢丹、丸井等・・・・・・・・
ジョルダンはとっくに形態が変わったけど、シシリアとか懐かしい。
とにかく、これでもか!と、当時の静岡で物語が進みます。
そんなわけで、小説としてはどうかな?と思いながらも楽しく先を進んだんです。
最後の二行目を楽しみに・・・・・・・・
そしてその最後の二行・・・・・・・・・
やられました。
違う物語っていうか、まったく違う視点になったって感じかな。
いったいどういうことなんだ、これは・・・・・・・・・
あらすじにあったように、確かに二回読みました、読みたくなりました。
ただ、それはけっして作品に感動したのではなくて、トリックの確認のためでしたけど。
作品は、side・A とside・B から成り立っています。
時代背景を考えたら、side・A とside・B はレコードが連想されます。
A面、B面ですね。
それって、A面をかけていても、実際はB面も同時に回っているわけです。
そう・・・・・・・
同時進行。
見事に騙されました。
ネタバレサイトを見てやっと全てが理解出来ました。
この作品、かなり好き嫌いが分かれるみたいですね。
ミステリー好きには評価低いし、ミステリー慣れしてない人には楽しめたみたい。
自分もミステリーはほとんど経験ないから、その意味では楽しめました。
でも、あのラストまでの恋愛遊戯はあまりにもチープすぎる気がします。
それもラストのための布石?
読後の感じはあまりよくなかったかな。
ミステリー初心者のおいらは楽しめたし、しかも静岡ネタ満載だったんだけど。
ただ、はっきり言えることは、
主人公は254ページまで、たっくんだったんです。
たっくん目線で物語が進んでいましたし。
が・・・・・・・・・
255ページのラストのたった二行で、マユが主人公だったのだと気づきました。
怖い怖い、女は怖いw
by zl750sp | 2013-07-03 23:22 | 読書