最近読んだ本の紹介1
ブックオフの文庫本105円コーナーから知らない作家の中からタイトルとあらすじだけで購入、
ってのにハマっていますが、その中から特に気に行った作品を簡単に紹介していこうかと思います。
第一弾は高嶋哲夫氏の「TSUNAMI」という作品です。
【あらすじ】
東海大地震。起きる起きないが問題なのではない。それは必ず起きる。
だから、今から何をしなければならないのか。
独自のハザードマップを作り、地震対策に努める26才の市役所防災課職員がいた。
だが、大地震が連続して発生。空前の大津波が太平洋岸を襲う!
そのとき恋人は、超高層ビルの建築主は、原子力発電所の職員は、自衛隊員は、首相は、
どう運命と向きあったのか!?
大迫力の防災サスペンス作品。
*文庫本の表4より
この作品は601ページのボリュームがあり、文庫本としてはかなり分厚い部類に入ります。
価格も、本体819円(税別)です。
ハードカバーは1995円とのこと。
ブックオフさんに大感謝です。
物語はあらすじにあるように、
●市役所防災課職員
●プロサーファーを目指す彼女
●日本防災研究センターの地震研究員
●名古屋で超高層ビルの落成間近に迎える建設会社社長
●アメリカから空母で日本に戻る途中の自衛隊員
●防災担当副大臣
●大浜原子力発電所当直長
●原発近くの海岸で大イベントを開催している責任者
●災害にあった総理の代わりに地震に立ち向かう副総理
これらの人達のそれぞれの視点からこの物語は進んでいきます。
読み進めて驚いたのは、まず描写が生々しくてとてもフィクションだとは思えないこと。
まるで現場を見ているかのような臨場感がありました。
地震の現場、津波の現場、原発の現場・・・・・・経験したからこそ書けるのではないか?
って思うくらいでした。
しかも津波と原発の絡み、東日本大震災を彷彿とされる内容でした。
いや、あれを経験をしてないのになぜここまでリアルに書けるのか・・・・・・・
この作品は東日本大震災より5年以上前に刊行されているのです。
震災直前に読んでいたら震えあがっていたかもしれません。
専門的なデータとかもたくさん練りこまれていますが、登場人物のキャラ立ちも秀逸で、ぐいぐい引き込まれていきました。
読み終わって感じたこと、
それは、
防災意識が高まった
ってことでした。
大地震が起きてからの津波への流れ、かなり細かく具体的に描写されています。
災害時の人間臭さがリアルにその怖さを伝えてくれるのです。
そして、ちょっと気になったことがひとつありました。
地震関連の予算(作品の中では400億円)に対して研究員の憂いです。
地震予知によって救われる命はある
しかし、その研究が地震の規模を小さくしたり抑える事はできない
予知しようがしなかろうが、地震は必ず起こるもの
予知研究に使われる莫大な税金は、防災や減災にシフトした方がいいのではなかろうか
くしくも先日、
イタリアで地震の予知に失敗した科学者に禁錮6年の有罪判決
というニュースが流れました。
いろいろな意見はあると思うんですが、こんなことで禁固刑になるんだったら研究は滞ってしまうでしょうね。
フクイチもそうだけど、責任のなすり合いってことなのかな。
警戒宣言を発令することによる経済損失は避けたい政府、地震予知が確立されていない中での判断を迫られる研究者・・・・・・
いろんな思惑が飛び交っていそうです。
経済損失か人命か、
人命が一番大切なのはわかりきっていても、いざハズしてしまったら・・・・・・・・・
責任の所在は難しいですよね、現状のシステムでは。
東海・東南海・南海地震が予測されている今、読んでおいて損はない内容だと思います。
*この作品は3部作の第2作とのことでした。
●第1作 「M8」
●第3作 「ジェミニの方舟」
by zl750sp | 2012-10-28 20:10 | 読書